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こんにちは。LGBTsコミュニケーターのてづかやよいです。

今回のセクマイのすすめ!は、番外編として、LGBT以外のマイノリティに着目してみたいと思います!セクマイのすすめ!【第1回】 で登場してくれた、わたしのパートナーめぐさんが、“漫画家”という職業についてのマイノリティ性について記事を書いてくれました。

彼女は、レズビアンであることをカミングアウトし、漫画家として活動しており、漫画を描くことだけで生計を立てています。ストレートの読者の皆さんの中には、フリーランスや自営業・会社経営者、もしくは専門的な分野のお仕事をしている方も少なくないと思います。

セクシャリティも仕事も、人生や生活の中での重要度は同じくらい高いものです。(セクシャリティは自分の価値観に大きな影響を与え、仕事は一日の半分近くを費やします。)

セクシャルマイノリティ兼、職業マイノリティな女性の話しを通して、

✓ マイノリティで生きることは厳しい現実もあるけれど

✓ たとえマイノリティでも自分らしく生きることは素晴らしいことだと知ってもらう

ことを目的として、お話しをすすめていきます。

 

こんにちは!レズビアン漫画家の安佐田めぐ美です。

一度は憧れる職業・漫画家。子どもの頃、一度は紙にペンをおとし、描いたことがある方も多いのではないでしょうか。

才能で生きる道は狭き門であり、私のように自分の好きな職業(=漫画家)を選択して生きること自体、日本の中では相当マイノリティな存在であります。

著者は漫画家でレズビアン。現在同性のパートナーが居て、結婚をして末永く一緒に居るために共に同じ目標を持ち暮らしています。

今回は、そのちょっと変わった生き方にスポットをあててみたいと思います。

漫画家がいかにマイノリティな職業か

突然ですが、皆さんに質問です。漫画大国と言われている日本ですが、いったい漫画家という職業の人はどのくらいいるでしょうか?

プロ漫画家である著者にも、この正確な数値は正直わかりませんが、単行本の発売数から数えてみると、日本でプロの漫画家として活動している人数は約6千人と言われています。

しかし、これも正しい数値とは言えません。なぜなら、出版社からデビューしたり単行本を発行してはいないけれど、「漫画を執筆して生活をしている」という人がいるからです。例えば、ネット上のみで発信している人、企業向けの広告を専門にしている人などです。

私は少年ジャンプでデビューしていますが、企業向けの広告も数多く引き受けています。定義は難しいですが、出版社からデビューしている人はもとより、漫画を執筆して生活している人が、そう多くないのは言うまでもありません。

プロ漫画家の定義

私はプロの漫画家です。プロとアマの違いを定義は色々ありますが、その内のひとつとして、「漫画を描くことで生計を立てているかどうか」がポイントとして言えます。(とはいえ、原稿料や印税を貰って生活していることの前に、才能の世界なので、絵の上手さであったり人気度であったり…現在執筆をしていない、または辞めてしまっている漫画家さんも「プロの漫画家」と言う場合もあります。この定義は非常に難しい!)

最近はネットの普及で、素人さんでも漫画を簡単に読者さんに見てもらえる環境ができているので、「漫画家」と名乗れる人自体は増えつつありますが、やはり漫画だけで生計を立てている漫画家は非常に少ないことは事実です。LGBTと同じく、「漫画家」もまた職業というカテゴリでは同じ少数派です。

 

レズビアン漫画家の生活

レズビアン漫画家の一日

まずは私の一日の始まりから。私は、朝起きてすぐに机に向かいます。

寝起きなのにすぐ仕事ができるの?と質問もいただくのですが、漫画を描くことは私にとっては生きがいそのもの。特に起きてすぐは、テレビやネットやSNSを見ていないため余計な情報が頭に入らずクリアになっているため、とても仕事をしやすい状態になっているので、むしろ快適なタイミングと言えます。

漫画家は漫画を描くのが仕事ですから、脳内に様々な情報が入らないほうが絵に集中しやすいのです。つまり、作品の世界観を崩さずに執筆をしやすいのです。

〆切が近い時は、朝起きてから、食事やお風呂の時間を除いて、24時間のほとんどを執筆に当てます。もちろん、パートナーとお出かけをしたり、友達と遊びに行くこともありますが、朝から晩まで漫画を描くことが多いのも漫画家の仕事の特徴かもしれません。

セクシャリティから日常の些細なこと、毎日の出来事すべてが作品に繋がる

私は現在レズビアンですが、30歳くらいまでは男性ともお付き合いをするバイセクシャルでした。

男性とも女性とも付き合ってきた経験を生かして、ぶんか社『本当にあった笑える話』で2年半、セクシャルマイノリティな自分の恋愛・SEX体験のエピソードを連載していました。(もうすぐ電子書籍化されます♪詳細はTwitterでお知らせしますので、よかったらフォローして下さい⇒@donfan1979)

昔はカミングアウトをしていなかったのですが、この連載をきっかけに、隠すことなくカミングアウトをした状態でお仕事をすることが出来るようになりました。

今では、LGBT関連のイラストや漫画のお仕事を頂く機会も増え、私の絵や漫画を描くという技術が、LGBTの認知拡大に少しでもお役立ちできていると思うと、カミングアウトをし、漫画を描き続けてきて本当に良かったなぁと胸がいっぱいになるのです。

 

レズビアン漫画家にとっての当たり前と世間の当たり前のギャップ

多くの皆さんにとっての当たり前が、レズビアン漫画家の私にとっては「えーーー!」と驚くことがよくあります。また逆もしかり。驚かれることもしばしばあるのです。

レズビアン漫画家にとってのテレビ

読者の皆さんにとっては娯楽であり、気軽な存在のテレビが、レズビアン漫画家のわたしにとっては真逆の存在というのも、マイノリティな職業についている私ならではのエピソードかもしれません。

筆者にとってテレビは、番組一つ一つが単なるエンターテイメントではなく、「作品」として映ります。

どうしても純粋な視聴者としてではなく、普段漫画のストーリーを考えている「作り手」の目線で見てしまうため、「作られた世界」であるテレビのバラエティー番組ひとつをとっても、細かい部分が気になってしまい、なかなか気楽に観ることができないので、実は苦手です。

脚本家が舞台やドラマを観て、自分ならこうするのにな~と、仕事の視点で観てしまうのと似ているかもしれません。

テレビに関しては、朝から夜、もしくは深夜まで、一日一度も見ないこともあります。一人暮らしをしている時はそもそもテレビを持っていませんでした。

テレビが嫌いというわけでは決してありませんし、むしろドキュメンタリーや話題のニュースは純粋に楽しむことができます。

また、何も気にせず夢中になれる番組を見られた時というのは、「観れて良かった!」感動さえするので、自分もこんな感動するものが作れたらいいのに!とうらやましくなります。

レズビアン漫画家は家にこもるのがお仕事

漫画家の一日は、とにかく漫画を描き続けて終わります。そのため一日中、下手したら数日・数週間、家にこもって作業を続けることもあります

満員電車で通勤をされている多くの方からすれば、「えー!ずっと家にいていいの?漫画描いてれば良いの?いいな~」と思われるかもしれません。

しかし、移動時間などの強制的に仕事ができない空き時間もない環境で、誰にも会わず、話さず、ずっと作品に向き合うのは、精神的に厳しく感じることも多いのです。(なので簡単に外の世界と繋がれるSNSを愛用している漫画家さんも多く、私もその一人です)

レズビアン漫画家は完全歩合制のお仕事

漫画を作るには、絵を描く前にまずストーリーを考え、物語を妄想し、キャラクターを頭の中で動かし、時にはしゃべらせてみたり…おもちゃ箱をひっくり返したような世界の中に浸り続けます。

そして、プロット(ストーリーの概要)とキャラ表を作り、ネーム(漫画の下書き)を切り、そこからやっと作画が開始します。

出版社から発売される漫画は、ネームの段階で確認してもらうのですが、企画を考えて出版社にネームの持ち込みしても、当たり前ですが100%通ることはありません。すべてボツになってしまうこともあります…。

企画が採用されなければ無収入の世界。企画が採用されるまで原稿を描き続けないと、生活は出来ません。

また、連載を獲得したとしても、人気がなければ連載はあっけなく終わり、収入にならないこともあります。自分のことながら、とても厳しい世界に身を置いたなぁと思います。

へこむことも多いのですが、そんな変わっている職業を選んだこと自体に後悔は全くなく、むしろ好きなことを仕事にできているので、変わった世界だなぁと楽しんでやっています(笑)

レズビアン漫画家は一人でいる時間が長い

漫画家は作品と向き合うことが仕事のため、とにかく一人でいる時間が長いです。アシスタントさんを自宅に呼び通ってもらい手伝ってもらっている漫画家も周りにはいますが、私はアシスタントさんを家に呼ぶことはないので、一人で仕事をしています。

今はパソコンで漫画を描けるデジタルの時代ですから、メールでやりとりして作業を進める在宅アシスタントと呼ばれる人も増加しています。私もデジタルで漫画を描いているので、アシスタントをお願いする時は、在宅アシスタントさんにお願いしています。

仕事部屋にアシスタントさんと数人一緒に仕事してる環境ならば、他愛ない会話もできます。しかし、私のように一人でこなしている漫画家さんは、電話がかかってこない限りは、黙々と絵を描き、あっという間に一日が過ぎていきます。

編集者と電話で話したり、時には漫画家同士で通話したりラインしたり…時には取材に外に出たりもしますが、会社員の方のように毎日数十人と必ず顔を合わせる、という生活をしている人に比べたら、圧倒的に一人でいることが多い職業と言えます。

ちなみに、アシスタントさんを雇うには一日1万円以上の日給や交通費など経費がかかります。今は出版業界は不況なので、原稿料も下がっています。売れっ子さんならまだしも、多くのスタッフを囲い仕事するのは、その他大勢の漫画家からするとあまり現実的ではないのです。

レズビアン漫画家のストレス発散は漫画を描くこと

普通、ストレス発散というと、仕事以外の趣味やフリーの時間のことを指す場合が多いと思います。漫画家さんの中にも、習い事をしたり、スポーツジムやスパに行くなど何かしらの趣味がある方は、その時間を設けて、読者の皆さん同様にストレス発散をしている方もいます。

しかし、漫画家の一番の喜びでありストレス発散の方法は、実は絵を描くことです。仕事として漫画を描きつつ、ストレス発散は落書きだったり、自分の好きなように作品を描いている人が多く、私もその一人です。

レズビアン漫画家最大の喜び

それは作品が世に出ることです。作品が世に出て初めて、読者さんと自分がつながることが出来るからです。

普段は部屋にこもりがちな漫画家ですが、自分という存在を作品を通して知ってもらう事も、このお仕事の醍醐味です。

作品の中の主人公は自分の投影とも言われています。作品が読者さんに喜ばれれば、それは自分が褒められているのと同じと感じるのですね。

自分の子供が褒められればうれしい!と似ている気持ちかもしれません。

 

レズビアン漫画家として生きていくこと

マイノリティな職業を選んだからには、続けていくメンタルの強さが必要

好きなことを仕事にしている喜びは、お金では買え無いものがあります。そしてそれを職業にできていることは、とても誇れることかもしれません。

私は漫画家のかたわら、若手を育てるために漫画専門学校で漫画コースの講師を5年しています。

生徒によく伝えることとして、

好きなことを選んだからと言って、決してお気楽な仕事ではないということ

選んだからには才能があると信じること

の二つがあります。厳しい世界で生きるためには技術的な才能はもちろん必要ですが、そんな世界で生き続けるには、自分を信じ続けていくメンタルの強さの方が大事な時があるからです。

私も、アルバイトですが会社に勤めていた時期もありました。毎朝通勤し、帰りも終電近くで、仕事は自宅に持ち帰り。休みの日はただただ寝ているだけの日もありました。

漫画を描かない人からすれば、「漫画家は自由だよね~」と思われがちです。しかし締切日が連続すれば外にも出られない、寝れない徹夜の日々も続きます。SNSで徹夜している小休憩のつぶやきをしている漫画家さんを見かけたとき、お疲れ様!と心の底から思ってしまいます。

先述のとおり、アシスタントさんを雇えば日当などの経費も多くかかります。漫画家の労働時間を時給に直すと数百円、数十円という声もよく聞きます。フリーランスならではの側面としては、病気だからといって高熱でも休めません。

…と苦労話ばかりですが、こんな漫画家の裏側を話すと夢が壊れてしまうかもしれませんね。しかし、自分のなりたい職業についてる人数を考えるとほんの一握りです。目指した職業につくことはもとより、その職業を継続することは何よりも一番大変なことかもしれません。

それでも、レズビアン漫画家として生きていく選択をした理由

私は、20歳の時、少年ジャンプで漫画家デビューをしました。ファン層が厚い人気の雑誌で、私自身ジャンプの大ファンでした。

しかし当時は大型連載が重なった時期でもあり、何度ネームを持ち込んでもデビューしてから自分の作品が連載になることはありませんでした。20代後半になると一種の燃え尽き症候群になり、漫画界から一度離れました。

その間に、アルバイトで会社員として働いていました。朝から晩まで働く日々が続く中、ある日こんなことを想い始めました。

「せっかく生きていて、自分の好きなことも知っているのに、それをしないというのは、なんてつまらないことなんだろう」

そして、ふとよぎったのです。

私はやっぱり好きなこと仕事にしたい

漫画を辞め、会社員をしなければ、こんな気付きはなかったかもしれません。

さらに追い打ちをかけられるように、友人や親から

好きなことをしないのはどうして?

漫画を描かなくなったあなたは魅力がない

と、言われるようになりました。

普通に暮らしたいと願って始めた会社員。好きなことがあるがゆえに、だんだんと会社勤めを窮屈に感じていた反面、もう一度漫画家に戻るということには決心がなかなかつきませんでした。

しかし、私は自分の心に正直に生きることを決めました。

私にとって普通の暮らしをするということは、漫画家に戻るということだったと気付いたからです。

それかたすぐにまた一から出版社に応募し、再スタートを切りました。その時の年齢が30歳でした。

現在37歳なので、なんだかんだそれから7年、漫画一本で生活できています。

 

レズビアンというセクシャリティ

レズビアンとしての自認とカミングアウト

初めて同性を好きになったのは小学生です。中学の時にも女の子を好きになりましたが、当時はもやもやっと片思いで終わりました。

成人してから女性と初めてお付き合いしました。そして現在も同棲しているのは、同性のパートナーです。

私のカミングアウトは30歳を過ぎてからでした。ぶんか社『本当にあった笑える話』で連載が始まった時に、顔や名前も出ることからカミングアウトを決めました。

「ラブトリガー愛の伝道師(ドンファン)」というギャグテイストな漫画では、自分のセクシャリティを含め、体験をセキララに漫画にしました。

セクシャリティをオープンにした漫画連載で分かったこと

私は、この漫画を通して「セクシャルマイノリティはここにいま~す!」という自己解放、そして自分をさらけだすことで読者さんにも自分の悩みや葛藤を解放開放してもらいたいという二つの目的がありました。

連載に連動して始めた安佐田めぐ美アカウントのtwitterでは、読者さんから「離婚」、「身体の悩み」、「恋の悩み」など、セクシャルマイノリティ以外の悩み相談のメッセージを多く頂きました。

ギャグテイストの体験漫画だったにも関わらず、連載を続けてみると、フォロワーさんはセクシャルマイノリティだけでなくストレートの方も多く、むしろお悩み相談はストレートな方からのほうが多かったくらいです。

そこで分かったのは、どんなに普通に見える暮らしをしている人にも、お金が無かったり、親や肉親になにか起きたり、大事な人とお別れしたり…友達と喧嘩したり、何かしら悩みはあるということ。

セクシャルマイノリティじゃなくても、誰にも言えないような悩みが人にはあり、だから私の漫画を読んで共感してくれた読者さんには、セクシャルマイノリティもストレートもいたのでした。

 

レズビアン漫画家からのメッセージ

一つの職業をとっても、好きなことを貫く力や、その環境を創り続けるというのは、とても力と決心が要るものです。

本当に自分のやりたいことや、生き方を考え選んだ時に、それが認められる社会であったり、人間関係であったり、周囲の理解と応援があることは、その道を突き進んでいく上で欠かせないとてもで大事なことです。

でももし、誰かに受け入れられないことをしていて、望むような言葉がもらえなかったとしても。自分が何かのマイノリティであったとしても。一人一人が幸せを感じることができることが一番大事です。自分の選んだ姿や、なりたい姿は一つの個性になるかもしれません。

私も自分を信じ、レズビアンとして生きること、漫画家を続けることを決めました

どうかこの記事を読んでいるすべての方、そして子どもや若者たちが、自分にとっての幸せを大事にして生きていかれる世の中になることを願い、私はこれからも、漫画を通してマイノリティで生きる素晴らしさを発信し続けていきます。

 

てづかやよいプロフィール写真てづかやよい

1988年生まれ、アラサーのフリーランサー。9歳年上の彼女と、うさぎ&ウーパールーパーと東京で仲良し同居中♪
2016年12月には公正証書で入籍、2017年結婚式予定。まだ同性婚が認められていない日本で、わたし達オリジナルの同性婚をします!LGBTとストレートの人たちが、お互いにコミュニケーションを取りやすくなるためにLGBTsコミュニケーターとして活動中。
ブログやラジオでの情報配信、コンサルティング、イベント企画、講演などなど。LGBTラボでは編集長兼「(セクシャルマイノリティ略して)セクシャルマイノリティのすすめ!」を連載。
アラサーLGBT女子×年上女性と結婚×フリーランスな超絶マイノリティライフをHPで更新中!twitterもやっていますので、ぜひフォローして下さい♪
HP: http://rainbowcrew.jp
twitter: @yasuu2867

 

安佐田めぐ美プロフィール写真

安佐田めぐ美

1979年生まれ、少年ジャンプデビュー
連載漫画MyWedding「リアルLGBT婚」、「吉原幻恋」(2017年3月末より開始)
過去作品、小学館「艶男ヒストリカ「吉原由縁桜」
本当にあった笑える話『ラブトリガー愛の伝導師(ドンファン)』
LGBTに関する漫画のお仕事もやっています。
ブログ:http://ameblo.jp/totomaru001001/
twitter:@donfan1979