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こんにちは。LGBTsコミュニケーターのてづかやよいです。

前回の記事 では、LGBTを理解するためにはまず、「マイノリティな立場の人を知ることが大事」というポイントをお伝えしましたね。

LGBTを理解するために「相手の立場」をイメージすることはとても重要です。

しかし、多くストレートの人が抱くLGBTへのイメージといえば、TVや夜の世界といった「非日常の彼ら」。多くのLGBT当事者は、普通に働いて普通に生活をしている人も多いのですが、この点を忘れてコミュニケーションをすると思わぬトラブルを引き起こす場合があります。

また、同じLGBT当事者同士の間でも、自分のセクシャリティ以外には詳しくない人が多く、誤解をしているケースもよく目にします。

同じLGBT当事者でも、同性愛者のレズビアンやゲイにとっては、男女どちらも愛せるバイセクシャルのことが理解しきれないでしょうし、心と実際の性別が一致している人にとってはトランスジェンダーの苦悩も理解できないこともあるでしょう。

そこで今回は、LGBTそれぞれのセクシャリティ別に持たれがちな偏見や誤解について、一問一答形式でお答えし、

✓LGBT当事者が受けがちな偏見や誤解の実態を知り

✓自分の中にある誤解や偏見を見つけ

✓不要なコミュニケーショントラブルを回避するポイントを探る

ことを目的として、お話しをすすめていきます。

 

LGBTを含むセクシャルマイノリティが抱かれがちな誤ったイメージと現実

LGBTはセンスがいい人が多い。ゲイはイケメン、レズビアンは美人が多い。

海外ドラマのオシャレなゲイや、セクシーなレズビアンのイメージが強いのでしょうか。

LGBTはハイセンスで、辛口毒舌、外見はカッコイイor美人というイメージがある種、定着していると感じています。わたしもそうでした。

しかし実際は、ほんとうにいろんな方がいるんです。みなさんの会社や学校など、人が多く集まる場所を想像してください。美形な人、太っている人、痩せている人、頭のいい人、明るい人…いろいろな人がいますよね。LGBTもそれと同じです。

日本に約1,000万人のLGBT当事者がいると言われていますが、みんながみんな似たようなハイスペックな容姿を持っているとは考えにくいですよね。

日本人はまじめで勤勉と言われていても、不真面目でさぼり癖のある日本人もたくさんいるように、イメージと現実にはだいぶ開きがあるのです。

セクシャルマイノリティは性に開放的な人が多い

「セクシャルマイノリティ」っていう言葉、どうしても日本人だと「セクシー」とか「SEX」を連想してしまうと思います。

本来の意味は、みなさんもご存じのとおり、「異性愛者に比べて同性愛者のが少数ですよ」「生まれ持った性別に違和感を感じないヘテロジェンダーに比べて、トランスジェンダーのが少数ですよ」という意味で、そこに「セクシーさ」も「SEXに直接かかわる内容」はありません。

「セクシャル(マイノリティ)」「性的(少数者)」という言葉の響きや、世間のもつ同性愛者に対して同性愛もののアダルトビデオやBL・GLといった創作物のイメージが強いため、このような誤解が広まってしまったようです。当たり前ですが、性に開放的かどうかは人それぞれです。

また、セクシャルマイノリティは自分の性別や好きになる性別についてカミングアウトやお話しする機会が多いせいか「下ネタOK」と誤解する人もいるようです。これも人それぞれ、下ネタが大丈夫な人もいれば苦手な人もいます。

特に職場では“セクハラ”になりやすいので、注意しましょうね

カミングアウトするって、良いことだよね!

オリンピック選手がパートナーの女性に公開プロポーズをしたり、2015年はアップル社CEOティム・クック氏や水泳選手イアン・ソープ氏がゲイを公表していたり、日本でもそれらのニュースを見ている方も多く、「LGBTがカミングアウトを通して悩みや葛藤を克服している姿」や「人の目を気にせず意志を貫く勇気や強さ」に感動した方も多いと思います。

日本でも、日本に住むLGBTを顕在化させるOUT IN JAPANという企画 や、LGBT当事者へのインタビュー記事に特化したLGBTERというメディア があります。(わたしも両方参加させていただきました。)

たしかにカミングアウトをした人は素敵です。わたしも、人の目を気にしてカミングアウトしたいのにできない人には「カミングアウトした方がいいですよ」とアドバイスをします。

しかし、カミングアウトはあくまで「個人の自由」。カミングアウトしたい人はすればいいし、カミングアウトしたくない人は無理にする必要はありません。

カミングアウト美談が出回ると、人々の価値観は「〇〇をすることは良いこと、逆にしないのは悪いこと」という認識を持たれるようになってしまいますが、ことカミングアウトに関しても、「することが良いことで、しないのは悪いこと」ではありません。

良かれと思ってのアドバイスも、人に考えの押しつけになってしまう場合もあります。

カミングアウトをするしないは個人の選択の問題なので、周りがとやかく意見するのは控えましょう。それよりも、会社や学校であれば、LGBT理解の勉強会を開くなど、カミングアウトしやすい雰囲気作りやサポートを心がけましょう!

また、「あの人はゲイなんだよ」など、周りが勝手に公表することも“アウティング”と呼ばれ、嫌がられますので、もし誰かのセクシャリティを知っても自分から他の人に話すことはやめましょうね。(自分のことを勝手に他人に話されたらいやですもんね)

ゲイは男性が大好き、レズビアンは女性が大好き。一緒にいると狙われる可能性が高い。

わたしがストレートの方にカミングアウトすると、「わたしのこと狙わないでね」とか、急に照れてしまったりする方がいます。

それは同性だからとわたしに対して安心していた部分が、急に異性に対して感じるような感覚がわいたからかもしれません。

ゲイは確かに好きになる相手は男性で、レズビアンは好きになる相手は女性なわけですが、イコール「男好き」「女好き」というわけではありません。

よく考えてみて下さい。「女好きの男性」もいれば、「恋人はいるけど女好きというわけではない男性」がいるように、みんながみんな好きになる対象の性別に対して強い興味を持つ人ばかりではありません。

読者のみなさんの中に男性が好きな方がいたとして、その方が「男性であれば、どんな男性でも好き!」というわけではありませんよね?それと一緒です。

同性愛者の人も、「好きなタイプ」があります。すべての同性を、恋愛対象や性愛対象として見ている可能性は非常に少ないので、変な意識をし過ぎず、今までとおりのお付き合いをしてくださいね。

 

レズビアンが抱かれがちな誤ったイメージと現実

女の人が好きってことは男性になりたいんでしょ。

女性として女性が好きな人のことをレズビアンと言います。

よく、トランスジェンダー男性(TVでいうおなべさん)と混同されてしまいますが、「好きになる相手の性別」と「自分の性別」は必ずしも関係しません。(もちろん「女性が好きで、自分を男性として愛してほしいから、男性になりたい」という方もいます)

人数的には「男性として女性を好きになる」人が多いですが、「男性として男性を好きになる」人も、「男性として男女どちらも好きになる」人も、「女性で生まれたが自分を男性と認識していて、好きな相手は男性」という方もいるのです。

ややこしくなってしまいましたか?

つまり、「自分の性別と逆の性別を好きになるものだ」というのはある種の固定概念であって、「自分が自分の性別をどう捉えているか?」と「自分が好きになる相手の性別は何か」は別の観点のお話しというわけです。

「女の人が好き」であっても、「男性になりたいかどうかは別の話」ということになりますね。

男の人が嫌いだから女の人を好きになったの?

中には男性恐怖症を理由としてレズビアンになった方もいらっしゃるようですが、多くは「そもそも女性を好き」という人です。

ストレートの方も、異性に失恋や嫌な思いをしたからといって、同性に興味が向かないですよね。ひどい失恋や衝撃的な体験をして、異性に恐怖心や嫌悪感を抱いたとしても、同性を好きになれる人もいればなれない人もいますから、「レズビアン=男性が嫌い」というイメージは誤解です。

また、よく「同性が好き」というと、即「異性が“嫌い”」と思われてしまうのですが、それはあくまで“恋愛対象としての好き”であって、人として好きかどうかに性別は関係ありません。

レズビアンの友達も親友は男性だったり、わたしも男性の友達は多い方ですし、女性が好きだからと言って男性が嫌いなわけではないので、ご安心くださいね(笑)

あとこれは余談ですが、「過去、男性と何かトラブルがあったのか?」という類の質問はとてもプライベートでデリケートな話題なので、相手の方とよほど信頼関係ができているという自信がある場合以外は、聞かない方が無難ですよ。

いい男を知らないから女にいったんでしょ

これは実際にわたしの彼女が言われたことがある言葉です。

わたし自身はパンセクシャル(好きになる相手の性別を問わない人)で、男性・女性・それ以外も好きになったりお付き合い経験がありますが、過去お付き合いした男性の中にはもちろん「…」な人もいましたし、素敵な人もいました。死ぬほど愛した人もいます。そして今好きなのは女性である現在のパートナー。

「同性を好きになった=異性とのよい恋愛経験がない」、というわけではないんですよね。

わたしも「男性の良さを知らないの?」「男性の良さを知ったら女性と付き合いたくなんてなくなるわよ」的なおせっかい発言をされたこともありますが、男女両方の良さを知っているわたしからしたら、「女性の良さを知らないの?」と言いたくなっちゃいますね(笑)

男の人にモテないからレズビアンになったのかな?

これは以前、おそらくレズビアンかバイセクシャルであろうボーイッシュな女性を見て、知人が言った言葉です。当時はわたしも自分のセクシャリティに気づいていないときだったので聞き流していましたが、今思うとそうとう失礼ですね。

確かに、「世間一般的な男性にモテる女性」と「レズビアンにモテる女性」に違いはありますが、男性にモテないことをきっかけに女性を好きになる人がいたのなら、もともとその人には「レズビアンまたはその他セクシャルマイノリティの素質」があっただけです。

どっちが男役で、どっちが女役なの?やっぱりボーイッシュな子と女性っぽい子がカップルになるの?

ストレートの方にありがちなことですが、「カップルの中でよりボーイッシュな女性=男役、より女性っぽい女性=女役」と決めつける方が非常に多いです。

これはカップルによりますが、わたし達の世代では「男役女役」というような枠に囚われるのが好きではない人が多いので、この質問をされると「?」と困り顔をされることも多いと思います。カップル内での役割は、固定的なものではないことの方が圧倒的に多いのです。

さらに、男役=タチ(SEXの攻め)、女役=ネコ(SEXの受け)というニュアンスを含んで聞いている方も多いようですが、これは完全なセクハラです(笑)

やはり考え方や認識が、“異性愛”がベースになっているからだと思いますが、同性愛者は異性愛者のマネをしたいわけではないので、自ら「私は女役だから、あなたは男役ね」と決めるカップルの方が少ないのです。(わたしの周りではいません)

 

バイセクシャルが抱かれがちな誤ったイメージと現実

男女両方の恋人が必要

男女どちらも好きになれるからといって、恋人が男女どちらも必要なわけではありません。

ポリアモリーといって、複数の恋人や好きな人が同時にいるというライフスタイルを持つ人もいますが、バイセクシャル全員がポリアモリーなライフスタイルを望むわけではありません。

また男女どちらも好きになれる可能性があるだけであって、すべてのバイセクシャルが男女どちらともお付き合い経験があるとも限りません。わたしの知人のバイセクシャル女性は、現在男性とお付き合いしていて、過去女性とお付き合いしたことはありませんが、学生時代ずっと好きな女性がいたそうです。

(バイセクシャル女性が最終的に男性と結婚したのを聞いて)やっぱり最後は男に戻るんだよね

バイセクシャルは男女両方を愛せます。言い方を変えると、好きになった相手が女性の場合もあれば男性の場合もあるということで、「女性だから」「男性だから」という点よりも、「その人の〇〇という点が好き」ということの方が多いでしょう。

わたしの周りにもバイセクシャルで最終的に結婚した相手が異性の方だった、という知り合いが数人います。

その話を聞くと「結局男に“戻った”んだね」「〇〇は男の‟方が“好きだったんだ」という人がいますが、それはちょっと違います。バイセクシャル女性にとって、異性である男性がメインでサブ的に女性が好きなわけではなく、単純にどちらの性別も愛せるのです。「ストレートや同性愛者の方に比べると、好きになる人の性別はそんなに重要ではない」ということになります。

わたしもよく、「もう男性は好きにならないの?」と聞かれますが、今でもカッコイイなぁと思う人や素敵だなと思う芸能人さんの中に男性もいます。でもそれは「男性の方がいい」からではなく、たまたまいいなと思った人が「男性だった」だけの話しです。

 

LGBTそれぞれが抱かれがちな誤ったイメージと現実。まとめ

みなさん、いかがでしたでしょうか?

今回ここに書いた内容は、ストレートだけではなく自分以外のセクシャルマイノリティに対して誤解したイメージを持っているLGBT当事者にとっても、なるほどとうなずける内容だったのではないでしょうか。

LGBTのシンボルであるレインボーは、色と色の境目がグラデーションになっていることもそれがシンボルたる由縁です。便宜上、「レズビアンとはこれこれこういう人」と記載がされている部分もありますが、セクシャリティはその人の人生の中で変化する可能性が高い、かなり流動的なものです。

今回一番お伝えしたかったのは、「自分の抱いているイメージがただの決めつけになっていないか?」という点を、みなさん自身の中で問うてみてほしいということです。

相手を決めつけた見方をしないことは、自分を決めつけないことにも繋がります。恋愛だけでなく、人々が自由な生き方を選択し、人生の変化を楽しめる時代が来ているのです。

今回は、「セクシャルマイノリティ全体」「レズビアン」「バイセクシャル」についてしか触れられませんでしたので、「ゲイ」「トランスジェンダー」については、別の機会で触れたいと思います。

てづかやよいプロフィール写真てづかやよい

1988年生まれ、アラサーのフリーランサー。9歳年上の彼女と、うさぎ&ウーパールーパーと東京で仲良し同居中♪
2016年12月には公正証書で入籍、2017年結婚式予定。まだ同性婚が認められていない日本で、わたし達オリジナルの同性婚をします!LGBTとストレートの人たちが、お互いにコミュニケーションを取りやすくなるためにLGBTsコミュニケーターとして活動中。
ブログやラジオでの情報配信、コンサルティング、イベント企画、講演などなど。LGBTラボでは編集長兼「(セクシャルマイノリティ略して)セクシャルマイノリティのすすめ!」を連載。
アラサーLGBT女子×年上女性と結婚×フリーランスな超絶マイノリティライフをHPで更新中!twitterもやっていますので、ぜひフォローして下さい♪
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