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LGBTを理解するためにはまず、マイノリティな立場の人を知ること

はじめまして。LGBTsコミュニケーターてづかやよいです。

わたしは普段、LGBTとストレートの方の間に立ち、両者がコミュニケーションを取りやすくなるためのコンサルティングや情報配信をお仕事としているので、たくさんの方と接する機会があります。

とくに、一生懸命LGBTを理解しようと、わたしの話を聞いて下さるストレートの方も、なかなか感覚的な部分も多い内容なので、苦戦している姿をお見受けします。(逆もしかりで、LGBT当事者の同性愛者の方にとっては異性愛者であるストレートの感覚を理解し難いようです)

セクシャルマイノリティ、略してセクマイのすすめ! 【第1回】のテーマはずばり!「LGBTを理解するためにはまず、マイノリティな立場の人を知ること」。

パンセクシャル20代フリーランサーであるわたしと、レズビアン漫画家のわたしのパートナー・安佐田めぐ美さんの対談を通して、

✓マイノリティ(少数派)と呼ばれる立場に生きる人の実態を知り

✓自分の中にあるマイノリティ性を探し

✓セクシャリティというカテゴリにおいてマイノリティなLGBTな人々とのコミュニケーションに生かすポイントを探る

ことを目的として、お話しをすすめていきます。

 

職業的マイノリティ・フリーランスとして生きる

自分の中のマイノリティ性

てづかやよい(以下、やよい):というわけで、「マイノリティ」をテーマに対談します。よろしくお願いします。

安佐田めぐ美(以下、めぐ):よろしくね。

やよい:めぐさんもわたしも、いろんな意味でマイノリティな存在だっていうことは、自他共に認識しているよね(笑)そのへん、自覚ある?

めぐ:うん、あるよ!(笑)そもそも職業的にね。まず会社員じゃない。それにわたしは漫画家をやっているけど、漫画大国の日本でさえ数千人しかいないって話も聞いたことあるよ。やりたいことを仕事にして、自由に生きているって日本ではとてつもないマイノリティだよね。

やよい:そうだね。わたしも去年フリーランスに転向したから、そういった意味ではめぐさんと同じく職業的マイノリティ。あと他でいうと、思ったことをはっきり表現するタイプだから、それも日本人では珍しいねって言われるマイノリティな部分だな。

めぐ:そういう観点でいくと、わたしはやりたいことをやりたいし、やりたくないことは一切やらないっていう部分がマイノリティかも。みんな、やりたくないことでも、なんとなく続ける人が多い気がするんだ。

会社員になるという選択肢がなかった

やよい:めぐさんは、漫画家として16年生きているベテランフリーランサーだけど、会社員になるという選択肢はあった?

めぐ:一切ないなー!

やよい:それは漫画家になりたかったから?

めぐ:もちろん、小さい頃から漫画家になりたかったから、それ以外で生きるというのを考えたことがなかったというのもある。でも、そもそも会社員はわたしには無理だから候補に挙げたことがないんだ(笑)

やよい:確かにめぐさん無理そう(笑)漫画家を辞めていた時期もあると言っていたけど、そのときはどう考えていたの?

めぐ:自分の好きなことでも、自分が生かされる環境にいて初めて成り立つってことが今は分かるだけど、当時は漫画家で食べていかれない=漫画家を辞めるしかないって絶望してたから、何も考えられなかったんだよね。しっかりした将来設計を立てる気にもなれないし、できないから、とりあえず生活するためにアルバイトをしていたよ。知り合いの編集部の会社に入ったときもアルバイトだったんだ。

やよい:その編集部の会社では社員になる話しは出なかったの?

めぐ:もちろん出ていたんだけど、断ったよ。「社員になる=誰かのいう事をきく」っていうのが苦痛だった。

やよい:自由でいたかったんだね。

会社員・フリーランス、どちらも経験した結果

めぐ:君は会社員の経験もあるよね?そのときは、何を思っていたの?

やよい:会社に入社するとき、「どんなに長くても5年でやめよう。そして起業する!」と決めていたの。でも数年経つと、給料とか条件は全然よくないのに、目標をこなせるようになっていたから居心地は悪くなくて、だんだんその世界が普通になってきていた。「もしかしたら、このままずっと辞められない…いや、辞めない選択をするかもしれない」って思った自分がすごく怖かったな。

めぐ:それで当初の宣言とおり5年で辞めたんだね!

やよい:最初は転職するつもりだったけど、結果的には個人事業主として予定通り起業できたね!会社員経験はしてよかったけど、今はこの生活が気に入っているから、会社員に戻りたいとは全く思わない。

今の職業を辞めたあとのこと

やよい:もしこの先、漫画家を辞めることになったら何をする?

めぐ:トラックの運転手か飲食業かな。

やよい:トラックの運転って会社員じゃない?

めぐ:運転大好きだし、走っているときは一人で干渉されないでしょ。とにかくタイムカードとかが無理だから、普通のオフィスに通う会社員はなれないし、なりたくないな。君は?

やよい:今LGBTsコミュニケーターを名乗っているけど、仕事は多種多様で、もはや何でも屋さん状態なんだよね。でも何かひとつしかお仕事できないとしたら、話す仕事か、文字を書く仕事か、歌をうたう仕事をするな!

めぐ:君もわたしとは違う方法だけど、表現するのが得意だもんね。

だんだん会社員の友達と話しが合わなくなる

やよい:絵を書くお仕事だと、たとえば会社に属して漫画を書いている人もいるよね?めぐさんは最初から漫画家を目指していたの?

めぐ:そうだよ。わたしは自分を漫画家っていうより作家って名乗ってきたの。それは「創作」がしたかったから。会社とか組織に属していたらやっぱり何か制限されてしまうし、自己表現ができない絵を書くなんて、わたしは耐えられないからね。

とは言え漫画家も、編集部やクライアントから制限をかけられたりするわけだけど、それは漫画を面白くするための試練くらいにしか感じていないよ。

やよい:ここまで自分の仕事に誇りや信念を持てている人って少ないよね。周りの人と話合わなくない?

めぐ:うーん(笑)やっぱりこういった仕事にかける情熱みたいなものは、普通の会社員の友達には理解されにくいよね。逆に漫画じゃなくても何かものづくりをしている人とはすごく話しが合うよ!君は?

やよい:わたしも前の会社の元同僚や先輩とは話が合わなくなっていると感じるよ。そもそも働き方が違い過ぎるしね。でも自分らしく生きると決めたから、前の仲間と話が合わなくなっても仕方ないと割り切っているよ!

めぐ:君は強いね。

やよい:めぐさんも強いと思うよ(笑)

めぐ:そうか(笑)まぁ、フリーランスで生きていくと決めた以上、周りの目を気にしていたら生きていけないよね。

 

日本社会的マイノリティ・女性として生きる

ビジネスの世界では女性は特にマイノリティな存在

やよい:日本ってまだまだ男性社会で、特にビジネスでは女性は男性よりもマイノリティだと思うんだ。ダイバーシティっていうと、まだまだ「女性活躍」っていう印象だし。めぐさんは女性として働くことについて何か感じることはある?

めぐ:前はよく男性クライアントさんに、「女性なんだから黙って笑っているか、おしとやかにいろよ!」と言われていたよ。わたしはメイクもあまりしないし、男性から見たらボーイッシュに見えるだろうから、余計言われたのかもしれないけど、「なんで“女性”だっていう理由でそんな指図を受けなければいけないんだろう…」って理解できなかったよ。やよいちゃんは、女の子扱いされることについてどう思う?

やよい:クライアントさんだと邪見にできないけど、それはひどい言い方だね。わたしは、たとえば「きれいだね、可愛いね」って褒められたらもちろん嬉しいけど、「女の子なんだから大人しくしていなさい、出しゃばらないで」っていう風潮に耐えられなかったな。

たとえば、わたしの方が売上高かったり仕事できているのに、他の男性社員の方が早く昇進したり昇給するのが理解できなくて、質問しにいったら「手塚さんは新卒だから~」とかよくわからない理由でごまかされたよ。

めぐ:わたしもそれ経験あるよ、バイトだけど。

やよい:めぐさんも同じ経験あるんだね!あとは転職活動中、高い年収をほしいっていうと不思議な顔されたんだよね。男性はいずれ家族を養うから、ある程度の年齢になったらそれ相当の年収が必要って判断されるのに、わたしはイチイチ、「どうしてこの水準の年収があなたの年齢でほしいの?」的な質問されて。女性だって家庭養ってる人たくさんいるし!希望年収に男女の差なんてないのに!って思ってたよ。

めぐ:その通りだね。わたしもそれは思う。「女性でそんなに稼いでどうするんですか?」って聞いてくる人たまにいるけど、「は?」って思うよ。

不思議な特別扱いを受ける女性

やよい:他は何かある?

めぐ:レディースデーはあるけどメンズデーはないよね

やよい:確かにない!あと、飲み会とかで男女で会費に差があるのも不思議。高校生ならまだしも、成人した男女で飲み食いしたらあんま変わらないと思わない?

めぐ:女性でたくさん飲み食いする人も多いし、男性で小食だったりお酒飲めない人もいるのにね。あとは、おごるおごられる問題!

やよい:わたしたち世代だと割り勘って普通なんだけど、まだまだ世の女性は「男性におごってもらって当たり前」な風潮を感じるな。

めぐ:わたしが女の子とデートしていた時、誰一人お財布すら出さなかったよ。お金を出すのがいやなんじゃないけど、わたしがもっと女性らしい女性だったら相手の女の子たちはどうしていたのかなと思うよ。

女性だからという理由だけで任される不思議な役割

やよい:あとは?

めぐ:男性が多い飲み会で、「酒をついだり気配りしろ」と強要されたことがあって、本当にやだったね。

やよい:それを言ってきた人はどういう人だったの?

めぐ:バイトの上司とかクライアントとかかな。プライベートな友達にもいたよ。

やよい:さっきの「男性におごられるのが当たり前な女性」と「女性に気を使ってもらって当たり前な男性」がお互いのニーズを満たし合っているんだろうね。でももうこれも時代に合わないと思う。おごりたい女性もいるし、気配りのできる男性もいて、ようは得意不得意の範疇の話しに「性別」は関係ないよね。

 

セクシャルマイノリティとして生きる

異性愛をベースに語られるLGBTの恋愛

やよい:よく同性と付き合っていると言うと、「どっちが男役女役なの?」って聞かれるよね。

めぐ:最近だとカミングアウトした母に聞かれたよ(笑)

やよい:なんて聞かれたの?

めぐ:「どっちが男役なの?答えなさいよ~!」って笑いながら興味津々だったよ。

やよい:重くなくていいね(笑)わたしは頻繁に聞かれるなぁ。メイクしたりスカートをはいているわたしと、ノーメイクでパンツ姿のめぐさんを並べて見たときに、男役女役があるって感じるみたいだけど、そんなのわたしたちの中にないよね。

めぐ:ないね。生活をする上で役割分担はするけど、どちらも働いてどちらも家事をしているし、どちらも意見を言うし、お互い支え合っているし。

やよい:世間は“異性愛”をベースに成り立っているから、どうしてもLGBTの恋愛もその形に当てはめたいんだろうね。

セクシャルマイノリティ(セクマイ)カップルの結婚

やよい:めぐさんが考えるセクマイカップルの結婚ってなに?現状、日本ではできないでしょ。

めぐ:方法はそれぞれでいいと思う。結婚は、末永く一緒にいるための仕組みだと思うから。契り…だね。

やよい:契りって(笑)昭和(笑)でも、わたしも同じ考えだな!婚姻届けが出せないけど、それならそれでオリジナルの結婚を考えればいいわけだし。結婚って恋人と違って簡単に別れられないからこそ、それが絆を深めるのかなって思う。

カミングアウトのいろいろ

やよい:めぐさんはカミングアウトをしてる?SNSではオープンだよね。

めぐ:ほとんどしているよ。でも漫画講師の仕事場では、あえて自分からは言わない。

やよい:それはなんで?生徒に聞かれたらどうするの?

めぐ:親御さんの目があるから声高に公表していないだけだよ。SNSでもオープンにしているし、LGBT関連の仕事もしているから、調べたらわかることだしね。生徒に聞かれたらもちろん隠さないよ。君は?

やよい:わたしは職業が“LGBTsコミュニケーター”だから、一切隠していないよ。家族、仕事、友達、SNSすべてでオープン。親戚にはあえて言ってはいないけど、もうすぐめぐさんと結婚するし、話すことになるね。

自分にとって自身のセクシャリティに対して感じること

やよい:自分がレズビアンでよかったなと思うことは?

めぐ:変に男性に意識されずに友達として扱ってもらえることが多いのは嬉しいかな。

やよい:それは何となくわかるな!でも逆に女の人にはすごい意識されない?私はカミングアウトした瞬間、仲良かった人から「わたしのこと狙わないでね」って言われて、「いやいや…タイプとかあるし」って引いちゃったことあるな。

めぐ:わたしもよくあるよ~。カミングアウトしたら急に「男性といるより面白いです~!」とか、男性と比べての褒め言葉を連発されるんだけど、別にわたしは男性と争ってないから微妙な気持ちになるんだよね(笑)

めぐ:わたしからも質問するね。男性とも付き合える君的に、男女どっちのがいいとかあるの?

やよい:性的な意味?

めぐ:総合的な意味!(笑)

やよい:ごめん(笑)どっちもどっちだね。性別というより、その人がどうかって感じだから、男の人でしょうもない人もいたし、素敵な人もいたよ。女性も同じかな。

めぐ:それは素晴らしい考え方だね。

やよい:とはいえでも、特徴はあるかも。傾向というか。女の人は同じ身体をしている分、生理とかホルモンバランスの乱れとか、そういった日常の些細な変化を分かり合えるのは、すごーく楽。

同性パートナーと一緒に生きる道を選ぶ

やよい:セクシャルマイノリティの人の中には、一人で生きていくと決める人や、異性パートナーと無理やりにでも結婚する道を選択する人もいる中、めぐさんはどうして同性パートナーと生きる道を選んだの?

めぐ:わたしはもともとバイセクシャルだから、男性とも付き合っていたし、結婚の話も何度も出ていたんだよね。でも、何度そういう話が出ても、男性と結婚して幸せになる未来予想図が描けなかったんだよね。

やよい:子どもをほしいと思ったことは?

めぐ:ほしかった時期もあるけど、セクシャルマイノリティであることとは別の理由で産まないっていう選択を選んでいたから、子どものことで異性パートナーと生きるかどうか悩んだことはなかったな。君は?

やよい:わたしも過去お付き合いした人で、男性も女性も結婚を考えていた人はいたよ。でも話がまとまらなかったり、タイミングがすれ違っていた。それは今思うと、結婚する相手ではなかったんだよね。

めぐさんと結婚するのを決めたのは、「次付き合うなら結婚を考えられるような真剣なお付き合いができる人」って思っていて付き合ったのがめぐさんだったから、タイミングとか考えの相性の良さが合ったことが、結婚を決めた大きな理由のひとつだよ。

めぐ:37歳を前にして、結婚できるとはねぇ・・・感慨深いよ。

やよい:わたしもまさか今年結婚することになるなんて驚いているよ。公正証書を作って結婚することになった感想はどう?

めぐ:素直に嬉しい!もう結婚はできないと思っていたし、異性カップルと全く同じ方法ではないにせよ、女の子同士で日本でも結婚できるんだって知ってビックリした。やよいちゃんと付き合って教えてもらうまで、いわゆる結婚の代わりに公正証書を作ったり、養子縁組をする方法があることさえ知らなかったからね。結婚なんて海外ではできるけど、日本ではありえないことなのかと思っていた。

やよい:わたしもとっても幸せです!最終的にノロケのようになってしまったけど、結婚もマイノリティを極めたわたし達の生き方・考え方がもたらした一つの形だもんね。

めぐ:自分の思う通りに生きていくことの方が、多数派に合わせて生きるよりずっと最高だと思ってるよ。これからも「マイノリティで生きていこう!」って思ってる

やよい:私も!めぐさん、今日は長い時間お話しありがとう。これは内容濃いから2記事分くらいのボリュームになるな…(笑)

 

LGBTを理解するためにはまず、マイノリティな立場の人を知ること。まとめ

いかがでしたでしょうか。

ストレートの人が本当の意味でLGBTを理解することは、無理なことなのかもしれません。それは当事者の感覚や気持ちは、当事者にしか分からない部分もあるからです。

でももし、「自分が何かしらのマイノリティ(少数派)になっていないか?」と問いかけることができたなら、きっと一つや二つ、人には理解されにくい趣味だったり、人とは違う個性が自分の中に見つかるはずです。そんな「自分の中のマイノリティ」な部分に気づいた人は、他人のマイノリティな部分に対して尊重することができます

LGBTとはこれこれこういうひとたちだと、知識を覚えるだけではなく、まずは「マイノリティ」とされる立場の人たちのことを考えることができれば、おのずとコミュニケーションはとりやすくなるはず。そもそも、マイノリティな人はLGBTだけではありませんしね。

まずは、この対談のように、自分の中のマイノリティな部分を探してみることから始めてみませんか?

てづかやよいプロフィール写真てづかやよい

1988年生まれ、アラサーのフリーランサー。9歳年上の彼女と、うさぎ&ウーパールーパーと東京で仲良し同居中♪
2016年12月には公正証書で入籍、2017年結婚式予定。まだ同性婚が認められていない日本で、わたし達オリジナルの同性婚をします!LGBTとストレートの人たちが、お互いにコミュニケーションを取りやすくなるためにLGBTsコミュニケーターとして活動中。
ブログやラジオでの情報配信、コンサルティング、イベント企画、講演などなど。LGBTラボでは編集長兼「(セクシャルマイノリティ略して)セクシャルマイノリティのすすめ!」を連載。
アラサーLGBT女子×年上女性と結婚×フリーランスな超絶マイノリティライフをHPで更新中!twitterもやっていますので、ぜひフォローして下さい♪
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