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レズビアン

以前にお付き合いしていた彼女と、同棲をするための部屋探しをしました。

レズビアンカップルが、レズビアンであることを伏せて、かつ、ヘテロセクシャルと同じ条件で、物件を探し借りることができるのか。

実際に部屋探しをしていて気がついた問題点や、賃貸契約の際の疑問点などを体験談として記事にします。

 

女ふたりの部屋探し

以前にお付き合いしていた彼女と、同棲をすることになり、ふたりで部屋探しをしました。

部屋探しをする、というと、まずは不動産屋さんで物件を探すというイメージですよね。

ふたりの新居となる大事なお部屋ですから、不動産屋さんに相談する前に決めることがたくさんあります。

立地・間取り・家賃の目安・洗濯機は室内に置ける方がいいな~などなど。

おおまかなことから細かいこだわりまで、新しい生活に想像を膨らますことはとっても楽しいことです。

しかし、私と彼女の場合は、ひとつ不安なこともありました。

それは同性カップルである私たちが、女性ふたりで希望する部屋を借りることができるのかどうかということ。

当初から1LDKでは手狭だから2DK以上の間取りを探そうと、ある程度の条件は決まっていましたが、はたから見たら血縁関係のない女性ふたり。しかし実情はカップルです。

婚姻関係ではないカップルの同棲」という点では未婚の異性間のカップルと変わりませんが、私たちが恋人同士であると宣言して部屋を探すことで何か問題が生じるのではないか…などなど心配事は付きませんでした。

とはいえ、考えているだけでは部屋は借りられません。さまざまなケースを考える中で、とりあえずはふたりで部屋を借りることを第一優先し、ふたりの関係は「友人同士のルームシェア」という名目で部屋探しをすることにしました。

いざ不動産屋さんへ!

 

かならず聞かれるふたりの関係性

ふたりで不動産屋さんを訪問し、探している物件の条件を具体的に説明するところから部屋探しがスタートしました。

そして、私たちの関係は「友人同士」であり、「ルームシェア」が目的で物件を借りたいという説明も。

彼女と私はすこし年齢差があるカップルではありましたが(とはいえカップルであれば、世間一般では疑問をもたれない程度の年齢差です。カップルであれば…)、私たちふたりが年齢差があるにも関わらずルームシェアをする程の深い友人関係である、と印象をうけた様子のご担当者さま。

雑談のなかでいろいろと質問をされました。

担当者「一緒にお住まいになるほどですから、お二人は仲がよろしいんですね~!」

私「そ、そうですねぇ~?(そら同棲しようとしてるカップルなんだから仲は良いよ)」

担当者「お二人はお仕事で一緒だったんですか?」

私「いえ、違います(飲み友達になってから付き合いました)」

担当者「え?地元が一緒なんですか?」

彼女「…趣味が合って意気投合したんです(間違ってはない)」

いいからはやく部屋を探してくれ

こういったふたりの関係性に関する質問は、カミングアウトしていないカップルは特に気を使います。

第三者から見てカップルであると認識されにくい同性カップル。逆にいうと、カップルというものは異性同士でのみ成立するもの、という先入観でこの考え方は成り立っているともいえます。

 

条件つき部屋探し

担当者の方は、立地や間取りの条件などからマッチングする物件を探しだしてくれました。

「わ~!この物件は駅から近くていいね!」

「こっちの物件は商店街が近い!買い物しやすそう!」

などなど、ワクワクしながら私たちは何件かの物件をピックアップし、担当者の方へ内見を依頼しました。

担当者の方は、物件がまだ成約していないか、物件の情報を確認するためその場で電話による問い合わせをされていました。

そしてその際に質問していたのは「ルームシェアご希望のお客様ですが、この物件はルームシェア可能ですか?」という点です。

ルームシェアという言葉にドキドキする私。このドキドキはなんでしょうか。

希望する物件がルームシェア可能であることを望んでいるから?

それは違いました。

このドキドキは、私たちふたりの関係性にみずから嘘をついていたからです。

隣にいる彼女に対して、どこからか申し訳ないような罪悪感のような気持ちがやってきます。

恋人同士でありながらコソコソと身の上を隠すようなことをしていることこそ、ドキドキの正体でした。

残念なことに希望した何件かの物件では「ルームシェア不可」の物件があり、それらの物件は諦めざるをえませんでした(基本的に友人同士の関係であるルームシェアの形態では、部屋を貸すことができないとお断りをされてしまいました)

私は一気に、部屋探しの選択肢が狭くなるのを感じました。

今でも、

「ルームシェアと宣言してしまったこと自体、間違っていたのではないか…?」

「同性カップルであると伝えた方がよかったのかな?」

「でも、より選択肢が狭まるのではないか?部屋を貸すオーナーの人がもし差別的な思考の人だったら?」

「せっかくこれから二人で生活を始めようというときにそういったことで彼女が傷ついたらどうしよう…」

と人間は選択しなかったことに未練を残す生き物ですが、どうしたら一番よかったのかと逡巡していたのをおぼえています。

だいたいルームシェアがダメというのはなぜ?

友人でも、カップルでも、血縁ではない、ということを理由に渋るんだったら男女の未婚(事実婚は除く)カップルだってそうじゃないの?

婚約関係だったらいいの?

などとモヤモヤした気持ちを押さえられずにいたものの、自分から「ルームシェアの物件に限定して探してください」と申し出ました。

もうこの際、どうでもいい!はやくふたりで安心して暮らせる物件を決めたい!

第一優先すべきは、ふたりで部屋を借りること。物件の選択肢が狭くなってもルームシェア目的と自己申告している以上、仕方のないことでした。

 

先入観とあきらめと隠しごと

同性カップルはお部屋を借りにくい。LGBTフレンドリーな不動産屋さんも増える一方で、まだまだ実情はシビアです。

現在日本で法律婚が認められているのは異性間ですが、男女でも法律婚をしていない人たちがたくさんいる中で、法的に婚姻関係でないからという理由はどこまで適用されるのでしょうか。

オーナーさんの中には、居住者のどちらかが出て行ってしまった時のリスクが高い(経済負担が1人にかたよってしまった場合、家賃の未納が発生する可能性がある)という考え方のオーナーさんもいるとは思います。

しかし、いまの時代は共働きの法律婚ご夫婦でも発生し得ることでしょう。

おそらくその点は「法律婚はなかなか別れにくい(家賃の未納が発生しにくい・解約されにくい)」という意識があり、そこから「法律婚外の未婚カップルであり現行法では婚姻関係が発生しない同性カップルは、何かあったらすぐ別れて出て行ってしまうのではないか?」という心配事に結びついてしまうのかもしれません。

しかし法律婚のご夫婦でも、男女の未婚カップルでも、同性カップルでも、別れてしまう人はスパッと別れてしまうものではあるため、理解できない理屈ではありますが…。

性別やセクシャリティを問わずスピード離婚・関係解消をするカップルはいますし、同性カップルでも長年連れ添っているカップルは存在します。

本来、愛しているたいせつな誰かと一緒に暮らすということは、人が幸せになるための重要事項であるはずです。

知らない・わからない・面倒であるという、あらゆる先入観がその実現を妨げます。

そして当事者である私自身も、

きっと説明しても理解してもらえないだろう

何か差別的なことを言われてしまうのではないか

トラブルになりたくない

という先入観に負けて同性カップルであることを隠し、宣言することをあきらめてしまっていたのです。

 

わたしは彼女の同居人

さて、最終的にルームシェア物件に的を絞り、物件探しを再開。直接現地に行って数件の部屋を内見しました。

そしてふたりで納得できる部屋が見つかり、そこからはただひたすら新生活に思いをはせていました。

保証会社への審査も無事終了し、賃貸契約の契約名義は彼女1名での契約(連帯保証人は各自1名必要でしたが)となりました。

賃貸契約書には私の名前も記載されましたが、私は彼女の“同居人”です。

ルームシェアを手段として使い、部屋をさがし借りたので当たり前ではありますが、ちょっとだけ「法律婚ではないということで“同居人”扱いされるのだから、堂々とカップルです、と言った方がよかったのかもしれないな」なんて今さらなことを考えていました。

 

選択肢があることはうれしいこと

何かを選びとるときに選択肢が多いことは自由度が増すということ。それだけでも単純にうれしい。

セクシャリティや性別に縛られず、あらゆるものごとを選べたらこの社会はもっと寛容に、そして自由になれるかもしれません。

選択肢を提供する側も、選びとる側の選択肢の自由度が増せば、マーケットが広がり需要も増える。

生きる上では、誰もが何かを選択し選択される立場であるともいえるので、自分自身の先入観に負けず広い視野を持っていたいものですね。

 

かなえのプロフィール写真です。かなえ

レズビアンで、女性向けのオフ会を毎月開催したりしています。セクシャルマイノリティ当事者から見た日常生活についてやカミングアウトをテーマに、体験記に近いかたちで記事を書いています。LGBTQのなかではごく普通のレズビアンが、ストレートの中で暮らすことは大変であり、とても楽しい。そんなストレートとセクシャルマイノリティの二つの世界に身を置いて感じたこと・思うことをお伝えしていきます。