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レズビアンの半径5m以内でおきていること

私はどこにでもいるアラサー女性です。そして性的マイノリティ(LGBTs)の中のレズビアンです。

最近では、自分自身がレズビアンであるということよりもアラサーという言葉に敏感に反応する年齢になりました。それくらい、女性が恋愛対象であることは私にとっては自然なことです。

この記事を読んでくださっている方は、自分がなにを基準に人を好きになるのか、なにを基準に恋愛をするのか(はたまたしないのか)、日常生活でつねに意識して過ごされているのでしょうか。

前述の通り、レズビアンである私は女性が恋愛対象である人間ですが、普段から特別意識していることはありません。しかしこの国で生活している以上、こちら側が意識していなくともごく当たり前に“それ”は向こう側からやってきます。

性別やセクシャリティの壁は、じつはあちらこちらに潜んでいるのです。

ささいな話題ですら性別がつきまとうこの世界

たとえば女性ファッション誌のうらないページ

うらないって不思議なもので、当たるも八卦、当たらぬも八卦とわかってはいながらも見てしまうものですね。特に恋愛運なんかは気になってしまうものです。だって女の子(アラサー)だもん。

「今月の恋愛運は絶好調!相性のいい異性から告白されて突然彼氏ができちゃうかも!」

なんて背中を押されるような文章が目に飛び込んできたとしても、なんだか引っかかる…。

「異性」!

「彼氏」!

そこにあるのは、異性愛が前提の世界観です。良いことは信じて悪いことは忘れてしまう都合のいい性格ですが、うらないの結果以前にレズビアンの私にはここが引っかかる。

世間はまだまだLGBTs(性的マイノリティ)を認めていないんだー!少数派を認識はしていないんだー!

…ん?

でも最近はテレビ・ネットなどのメディアで、LGBTs(性的マイノリティ)の話題が取り上げられることが多くなっているわよね?

そうか!認識はしているけれど実際に会話ができる距離で「いる」ということに気づいていないのね。

…ん?

でもそれって認識っていうのかしら?

分かっちゃいるけどなんだかなぁ、と喉に魚の骨がひっかかったような違和感に気をとられ、アラサーレズビアンの恋愛運はどこかへいってしまいました。

レズビアンがいることは想定にない。これが現状

「今月の恋愛運は絶好調!相性のいい異性から告白されて突然彼氏ができちゃうかも!」

もし、この「相性のいい異性」が「相性のいい人」であればどうでしょう?

もしくは「彼氏」という言葉ではなく「恋人」という言葉で表現されていればどうでしょう?

小さいことだし慣れているし、べつにいいけどね…と、どこか冷めた気持ちで雑誌を閉じるアラサーレズビアン。

しかしこのような小さなことが散りばめられているのが日常です。

 

レズビアンは身近に存在しない生き物だと思われている

レズビアンを含む性的マイノリティ(LGBTs)の人たちは、テレビやPCの中だけに存在する、ディスプレイの向こう側の存在だと思われてしまうことがよくあります。

はたまた、海外ではそういう人がいるということは聞いたこともがあるけれど、そんな珍しい存在は、まさか自分の職場や友人・家族などの身のまわりでは存在しないはずのものだろう。

だってまわりにいないし、数が少ないから、だから自分の目の前にいる人は”そんなはず”はない、と思っていらっしゃる方が大多数だと思います。

しかし本当にそうでしょうか?

 

恋愛話をするのも一苦労なアラサーレズビアン

現実には存在しないものとして存在しているレズビアンは、恋愛話をするのもなかなか面倒なものです。

たとえば「この人は女性だから当然、恋愛対象は男性だろう」という暗黙の了解のもと、ひとつの疑問もなくすすむ会話があるとします。

「どんな人がタイプなの?」

「背が高くて、髪が短めで、やさしい人が好みかな」

「結婚は?」

「いまはまだしないの」

嘘をつくつもりはないし、嘘はつきたくない。しかし、しかたなく虚偽の回答をしなければならない。

これはかなりよく使う手ですが、「どんな人がタイプなの?」とたずねられたら「(女性としては)背が高くて(女性としては)髪が短めでやさしい人」と答えます。

「結婚は?」とたずねられたら「いまはまだ(日本ではできないし、そもそも彼女もいないし…だからまだ)しないの」と答えます。

そうです。実際は「彼女」や「気になる女性(同性)」である存在を、「彼氏」や「気になる男性(異性)」に置きかえて会話をします。

ストレート(異性愛者)に擬態する様子は、さながらカメレオンです。

頭のなかのカメレオンが「女は男に変換するんだ!彼女は彼氏だ!さあさあ!」と指令を出してきますが、言い間違えたり、あわてて冗談めかして訂正をしたり、ボロがでたいきおいでカミングアウトすることもあります。(もう面倒くさい…)

「気になっている彼とはうまくいきそう?」

「(彼女だけど!)結構うまくいきそう!このあいだはふたりでゴハンしたの!」

「よかったね、どこに行ったの?」

「新宿においしそうなお店があってね、そこの女子会プランを予約して一緒に行ったんだけど~」

「え?男の人と女子会プラン…?」

「(あ…!もうよくわかんなくなってきた…!)」

カメレオン失敗。

どこへいっても喉にひっかかる魚の骨、ごはんを丸のみするアラサーレズビアン

会う人、会う人に「こんにちは!私はレズビアンです!よろしくね!」とカミングアウトしているわけでは、当然ありません。

なので、私がレズビアンであるということを相手が認識していないうえでの会話であるということは理解しています。

たまに、すこしだけ悲しくなっても、喉に魚の骨がひっかかったような違和感をおぼえる程度のことです。ごはんを丸のみすれば解消されるでしょう。

しかし、これが毎日、だれに対しても一生つづく事柄だったとしたら、どうでしょうか。

あなたのアイデンティティに一生ついてまわることで、人に言いたくても言えない・言わないと決めたことはありますか?

みんながそうだからあなたもそのはず、●●なんて絶対言えない、●●なんだから仕方ない、まさか自分が●●だなんてだれも思ってもいないだろうな。

それが精神的なプレッシャーになったり、ふと孤独を感じたり、ふと絶望することはありませんか。

 

出会いをもとめてレズビアンの半径5mからとび出してみる

レズビアン、ゲイ…LGBTsの聖地・新宿2丁目はどんなところ?

アラサーにもなるとやはり彼女が欲しくなります。なんだったらずっと欲しいままなのですが。

職場や学校、うまれ育った地元の友人関係、趣味のサークルなど日常生活のなかで出会えればベストです。しかしストレート(異性愛者)に擬態するカメレオンの身としてはハードルが高い。

でも恋愛したい!いや、まずレズビアンの友達がほしい!

そのためには同じレズビアンがいる場所に自分から出向かなければ!

そう思い立ち、私が向かったのはレズビアン、ゲイ…LGBTsの聖地・新宿2丁目でした。

新宿2丁目には女性のみ入店できるバー(レズビアンバー、私たちは省略してビアンバーと呼んだりします)や、女性限定のクラブイベントなどレズビアンである自分を隠さずにいられる居場所があります。

そしてそれらの居場所は、日常生活ではなかなか見つけにくい出会いを探せる場所。

最近では新宿2丁目に限らず、特に都内ではビアンバーの出店やクラブイベントの開催が増えてきています。

インターネットはレズビアンにやさしい

バーやクラブなど特定の場所に行かずとも、人とのつながりを持つこともできます。

TwitterなどのSNS、レズビアン向けの掲示板やアプリを利用すれば、だれでもやり取りが可能な時代。

ネット上での出会いというと、不透明で不安要素が強いイメージが浮かぶかもしれませんが、これは匿名性が高いからこそ成立する出会い方ともいえます。

日常生活と直結していないネット上では、いわゆる「身バレ」を気にせず気軽に交流することができるためです。

このネット上での出会いに付随する出会い方のひとつとして、オフ会があります。

食事会や飲み会の参加者をネット上で募集して、実際に会うことができる。平たくいえば合コンですが、参加者を募る方法がオンラインに偏るので、おもにオフ会と呼ばれています。

私自身も毎月オフ会を開催していますが、先述のビアンバーやクラブイベントといった場所があまり得意ではない方にも、需要が多くあると感じています。

出会いの場として活用されるオフ会は、お誘いを受けて参加することもありますが、実際に自分で開催エリアやオフ会の内容(飲み会なのか食事会なのかそれ以外なのかなど企画自体の内容・参加条件・全体の募集人数や開催規模…etc)などを検索し、参加を検討します。

希望とマッチングするものであれば参加の申し込みをし、幹事や主催者とやり取りをして、当日はその場所へ足を運ぶという手順を踏まなければなりません。

時間をつかい、お金をつかい、体力をつかい、そうしてでも誰かに会いたい。

恋人探しや友達づくりなど、その人を動かす理由はさまざまですが、原動力の根源は純粋に「つながりたい」「理解したい・理解してほしい」という気持ちだと個人的には考えます。

レズビアンは特定の場所でしか出会えない?

ビアンバーや女性限定のクラブイベント、ネット上での交流、オフ会。

これらの交流方法にはそれぞれの楽しさやメリットがありますが、共通しているのは日常生活から隔絶されているという点です。

人と出会う機会は、関わる場が多ければ多いほど得られます。

ならば、職場や学校、うまれ育った地元の友人関係、趣味のサ-クルなど、日常生活で得られるチャンスをひとつでも多く活かさない手はありません。

絶対数がすくない性的マイノリティ(LGBTS)ならなおさらです。

にもかかわらず、この選択肢を選ぶ(選べる)レズビアンはあまりいません。いったい、なにがそうさせているのでしょうか。

 

目に見えていないことは、存在しないことと同じではない

社会全体がストレート(異性愛者)で成り立っているということは事実であり、同性愛者を含めLGBTs(性的マイノリティ)は社会の中での割合でいえば、文字どおり少数派です。

しかし、公表していない(可視化されていない)ということと、存在していないということはイコールではありません。

「なんかあの人ってレズっぽいよね」

「同性愛とかキモくない?」

偏見や不当な扱いをされることを恐れて、カミングアウトをしたくてもできない場面が多々あります。

また、人間関係や職場環境、年齢、居住している場所の地域性など、さまざまな事情を考慮し「あえてカミングアウトしない」という選択肢を選ぶことも多くあります。(これはLGBTs(性的マイノリティ)に限った話ではなく、社会的なマイノリティ=少数派に該当する方なら、うなずけることではないでしょうか)。

「子供できないじゃん」

「病気でしょ?」

「よく分かんないけどなんか無理」

人間は想像・同調できないことや、よく知らない・分からないことに嫌悪感や恐怖を感じますが、それは無知のまま何かを否定したりさげすんで良い理由にはなりません。

知っている・分かっているけど、という場合はその知識は事実なのか、先入観や漠然とした印象ではないのか、実際にその目で、耳で確かめたことなのか。

いったん止まって考えてみると違った世界が見えてくるかもしれません。

 

あなたのとなりにもいるかもしれないカメレオンなLGBTs当事者

私は、人間関係やその場の状況、自身の立場を考慮し、カミングアウトを取捨選択しています。

カミングアウトする・しないが良い・悪いではないように、公表している・公表していないにかかわらず、レズビアンである私は確かにだれかのとなりにいます。

あなたが日常生活で、なにかに擬態せざるをえない事柄があったとして、目の前の人もなにかの事情で擬態せざるをえないのだとしたら。

その変身している目の前の人のこころを軽くできるのは間違いなくあなたです。

その人は「本当は彼氏じゃなくて彼女なんだけどな…」、「本当のことを言いたいけど、理解してもらえないかもしれない」「あなたに好かれたい・嫌われたくない」と葛藤しているカメレオンかもしれません。

この社会には確実に、LGBTs(性的マイノリティ)が存在しているということ。

そして、それは当事者が「言わない」選択をしたのではなく「言えない事情」があるのかもしれないということ。

LGBTs(性的マイノリティ)は、友人や家族、上司や部下や同僚など、自分のとなりにいる人かもしれないということを、頭の片隅にそっと置いておいていただければ、とてもうれしいです

それはふとした時に、あなたと誰かのコミニュケ-ションを円滑にしてくれるヒントとなり得るでしょう。

カメレオンは、あなたのすぐそばにいるのかもしれません。

かなえのプロフィール写真です。かなえ

レズビアンで、女性向けのオフ会を毎月開催したりしています。セクシャルマイノリティ当事者から見た日常生活についてやカミングアウトをテーマに、体験記に近いかたちで記事を書いています。LGBTQのなかではごく普通のレズビアンが、ストレートの中で暮らすことは大変であり、とても楽しい。そんなストレートとセクシャルマイノリティの二つの世界に身を置いて感じたこと・思うことをお伝えしていきます。