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同性カップル=ストレートカップル?
ストレートやアライ(支援者)の方は、“同性カップル”という言葉を聞くと、どのようなイメージを持つでしょうか。
やはり、「いわゆるストレート同士の異性カップルとは少し違うのかな?」と感じられるでしょうか。
同性カップル側の感覚としては、日常の中で「ストレートカップルと差があるな・・・」という場面に遭遇することが多々あります。
今回は、同性カップルが日常の中でどういうことに対し不便を感じているのか、また、恋人関係を育む上で、どのような環境を望んでいるのかというところをメインに、ゲイカップルとレズビアンカップルに生の声を伺ってきました。
同性カップルが感じている世間との壁~ゲイカップルの場合~
最初の1組目は、ゲイカップルのNさんとSさんです。(以下敬称略)
―今日はご協力ありがとうございます。
N「いえいえ、こちらこそ。声かけてくれて嬉しいです。」
S「よろしくお願いします。」
―普段の感じで喋るね(笑)二人がカップルとして日常を過ごすとき、何か不便を感じることはある?
N「そうだなー。今は特に感じない・・・あ、手繋いで歩けないね。」
S「あ、そうだね。それはあるかも。」
―あ!そうだね。女の子同士だとある程度大目に見てもらえるけど、男同士だと好奇の目向ける人多いよね。
S「そうなのよね。ガチな感じが出るもんね(笑)なんだろうねー、女子同士は許されるあの感じ。」
N「ほんとにね。今はどう見られてもいいって思えるようになったけど、いまだに手は繋げないなー。恥ずかしいもん。手汗もかくし(笑)こま子はどうなの?手は繋げる?」
S「こま子って見た目ボーイッシュだからすぐ『レズカップルだ!』ってなりそう。やっぱり気にする?」
―私?全然気にしないなー。自分から積極的に繋いじゃう。学生の時は人目もはばからずキスもしていたし(笑)京都駅で(笑)
N「やだー!なにそれ怖いー!!(笑)京都だから出来たんでしょー!東京じゃ絶対無理よ!(笑)」
S「でもこま子はやりそう・・・(笑)」
―あの時は遠距離だったからね(笑)むやみやたらにはしないよ!でもねぇ・・・好きだから自由にさせてくれ!って思っちゃうけどさ(笑)
N「キスはともかく、手を繋ぐのは大目に見てほしいよね。男女だと当たり前だからさ。」
S「そうねー。当たり前になる時は、私たち生きてなさそうね・・・(笑)」
―手を繋ぐ以外にあるかな?
N「不動産!!ね、部屋探すの大変だったよね。」
S「うんうん。面倒くさかった・・・。綺麗に使うわよ!って感じよね。」
―その話よく聞くんだけど、どういうことなんだろう?
N「男二人だと部屋を汚すとか、騒がしいから近隣迷惑だとか・・・。」
S「ゲイが住んでることに嫌気さして退去する人が出てくるって考えるオーナーもいるでしょうね。」
―うーん、そうなんだ。納得いかないけどね・・・。
S「私も全然納得できないわ。家賃はちゃんと払うのに」
N「それに普通に綺麗好きよ、私たち!」
―色んな理由こじつけて偏見を誤魔化してる感じがすごいするね。でも今はLGBTフレンドリーな不動産も増えているらしいから、そこを頼れば楽なのかなと思ったり。
N「確かに増えてるね-!次はそこ辺りに頼もうかな。」
S「でもしばらくは今のとこでいいよ・・・(笑)」
N「あ!それに近い感じで言えばラブホ(ラブホテル)に入れない!」
N「まあ、理由は分からなくもないけどね・・・」
S「そうだね。」
―新宿二丁目辺りだと入れるんじゃないの?
S「もう二丁目自体あまり行かなくなったからなー。」
N「そうそう。わざわざそこに行く必要もないしね。」
―そうだよね。え、でも二人は一緒に住んでるからそもそも必要ないでしょ(笑)
N「昔の話ね!(笑)私たち以外のゲイは困ってるわよー。」
S「解決はなかなか難しいかもねー。ラブホ側は差別してるわけじゃないけど、お後がよろしくないからというかね・・・(笑)」
N「そうだね(笑)それはどうしようもないかな・・・。」
―レズビアンはその点、あまり困らないけどね。
N「聞いてないわよ!(笑)」
―色々意見が聞けたけど、今は特に困っていることはないんだね?
N「そうだね!個人的には歩いている時にSがくっついてくると『くっつかないで!』って言っちゃうけどね(笑)」
S「そうなの!酷くない?私、結構傷つくんだからあれ。」
N「悪いとは思ってるよ!でもなんか、ムズムズするのよ(笑)」
―確かに、パーソナルスペースがめっちゃ狭いなとは思う(笑)今年の初詣の時、後ろ歩いてて仲良しさんだなーって思ってた(笑)。
N「そんなこと思ってたんかい(笑)」
―他にある?
N「うーん、困っているというか、希望なんだけど、結婚式挙げたい!」
S「それねー。」
―なにそれ素敵。私それお手伝いしたい!
N「LGBT関連の知り合いでプロデュースしてる人いたら紹介してよ!」
S「どこに何を頼めばいいか分からないよねー。」
―それは身内も含めて?
S「うん、それがいいかなとは思っているんだけどね。まだ検討中。」
N「友達も誰呼ぶかだからさー。予算とか気になるよね。」
―でも本当に挙げるなら力になります。いつもお世話になっているので。
N「ほんとー!?こちらこそお願いします!」
S「こま子にブーケ託さなきゃじゃん(笑)」
―私はまず相手を見つけなきゃじゃん!(笑)じゃあ、インタビューはここまでかな。今日は忙しいところお時間ありがとうございました。今日の夜飲みに行きます!
N「こちらこそありがとうございました。お待ちしてまーす!(笑)」
S「ありがとうございましたー!」
同性カップルが感じている世間との壁~レズビアンカップルの場合
続いてはレズビアンカップルのKさんとRさんです。(以下敬称略)
―今日はご協力ありがとうございます。お久しぶりです。
K「いえいえ。こちらこそよろしくお願いします。」
R「よろしくお願いします!」
―普段の感じで喋っても大丈夫ですか?
K「是非そうしてください(笑)」
―二人がカップルとして日常を過ごすとき、何か不便を感じることはあった?
K「うーん・・・。まずペアルックかな・・・。指輪とか。店に入りづらかった。」
R「あー・・・。最初にぶつかる壁だね。」
K「うん。ハードルかなり高かったよね。」
―分かる!!前付き合ってた人の時、店頭で諦めて通販で買ったもん。
R「通販って手もあったかー。でもそれだと世の中に負けた気分で嫌(笑)」
K「あれ?ちょっと待って、前付き合ってた人って、今いないの?」
―いないわ!私のことはいいから(笑)話戻すけど、店員さんの反応はどうだった?
K「察し・・・みたいな顔してたね。探りいれるような。」
R「そうなるよねー。手繋いでたし、お揃いの指輪だったし。こいつらレズだな、みたいな。」
K「店員さんというより、周りのノンケカップルの視線が嫌だった。『みてみてーあの人たち』的なジェスチャーっていうの?バレてるぞ!って。」
R「そんなコソコソするくらいなら直接聞いて欲しいよね。『おたく、レズカップルですか?』って(笑)」
―本当に存在するんだー!みたいな感覚なんだろうね。周りに当事者がいないと、なおさらというか。
K「それはでかいよね。周りにいるかいないかでかなり変わるね。」
R「じゃあもうさ、そうなったら有名人になった気分でいた方が幸せじゃない?(笑)」
K「なにそのスーパーポジティブ(笑)」
―その考えで指輪買いに行くわ(笑)
R「え、一人で?」
K「相手いないのに?」
―厳しいなあー!!はいはい、早く見つけますよ!次!他に困ったことは?
K「飲み会の恋愛トーク。」
R「あ、分かる。『彼氏は?』って聞かれるのムカつく。」
―分かりすぎて辛い。あれ本当に嫌だよね。
K「特に盛り上がれないからつまらないし、帰りたい(笑)」
R「いつ結婚、いつ子ども、とかね。それだけが女の幸せじゃないよって。」
K「“恋人いますよ”って答えるけどね。いないとは言いたくない。Rって彼女がちゃんといるんだもん。」
R「やめてよ、恥ずかしい。けど嬉しい。」
―あ、ごめん、いちゃつくの禁止で。
K「はいはい。てか、井上は外見的にバレそうだよね。」
R「バレるというより、相手がこの子どっちなんだろう・・・?って身構えそう。」
―周りに当事者がいる人にはバレるよ。ていうか、最近は『彼氏は?』って聞かれたらカミングアウトするようにしてる。
K「え?会社でも?」
―うん。関係なく。こっちが堂々としていれば何もしてこないし。それにLGBTの支援を本名でやってるからバレるのも時間の問題かなって。Facebookもやってるし。
R「あー、それはバレるね。でも言えるのは羨ましい。」
―でも言ったところで、恋愛トークに混ぜてもらえるわけでもないけど(笑)深く聞いちゃいけないって思うみたい。
K「それは私だったら逆に聞いて欲しいかな。人によりけりだろうけど。」
R「それは難しいよー。中にはちょっとした質問でもセクハラだ!って感じる人もいるだろうし。」
K「あー、そうか。でも気を遣われるのも嫌なんだけどね・・・。」
―もし彼女が出来たら、ノンケよりもノロケちゃうんだろうな。絶賛の嵐。
R「前そうだったもんね。鼻の下伸びてたし。」
K「でもわかる。私だって自慢したいし、むしろあなたたちのお相手より良いから!って言ってやりたい。」
R「だからー、もういいって。」
―次行こう、次。後何かある?
K「うーん・・・カップル限定イベントとか?割引とかもあるじゃん。」
R「あー!あれって同性カップルありなのかな?」
―どうなんだろう?もし出来たとしても、悪用する人いるだろうね・・・。
K「そうなんだよね。かといって証明するものもないし。」
R「同性パートナーシップ証明書とか?取ってないからどんなのか分からないけど。」
K「普段持ち歩くものでもなさそう。」
―そう考えると、個人的にレディースデーとかも利用しづらい。心の中で葛藤する。
K「私も見た目的に利用しづらいなー。こういう時だけ女扱いされたいのかよって思われるのも嫌だし。」
R「よく男なのか女なのか分からないような反応されるもんね。」
―結構たくさん出てきたね。色んな問題。
K「でも、これからどんどん良くなるんじゃないかと思う。今じゃ義務教育でLGBTについて学習するんでしょ?下の世代の子にとっては当たり前になるかもしれないね。」
R「私たちの時全然なかったもんね」
―学校で伝えるのは大事だよね。LGBTの活動家の中には小学校から大学まで幅広く講演している方もいらっしゃるし。
R「そういう活動している方々の恩恵が徐々に現れてきているのかな。私たちもこのインタビューでちょっと貢献できていると思うと嬉しいよね!」
K「そうだね。なかなかない機会だもん。また何かあったら声かけて。協力する。」
―ありがとう!そう言ってくれると励みになります。それじゃ、これでインタビューを終わります。今日はお忙しいところ貴重なお時間をありがとうございました。
K「いえいえ、こちらこそ。これで状況が改善されることを祈ります。」
R「ありがとうございます、頼みました!(笑)」
同性カップルもごく普通のカップルであるということ
いかがだったでしょうか。インタビューを通して同性カップルが直面している問題が浮き彫りになりました。
私自身、共感することも多く、改めて自分が感じてきた不便性を見つめなおしました。
ゲイカップル、レズビアンカップルともに共通しているのは、
「周りから好奇の目で見られやすい。」
ということです。
確かに、ストレートカップルと比べると、同性カップルを街中で見かける回数はグンと減ります。「珍しい!」と思うのは仕方のないことなのかもしれません。
しかし、その感覚を顔や態度に出す人が多いように感じます。その一つ一つの所作で、傷ついたり嫌な思いをしている同性カップルが多く存在していることを忘れてはいけないと考えています。
私たちは同性同士である以前に、一人の人間です。同性であれば誰でもいいわけではなく、ちゃんとその人を見て恋をしているのです。
これはストレートカップルと何も変わりません。恋愛のプロセスに至っては全く一緒。違いは相手が異性か、同性かというだけです。
ストレートまたはアライの方々にお願いしたいのは、私たち同性カップルは普通に存在すると認識してほしいということ。
そして、友達やその他知り合いが、もし同性カップルに対して偏見的な発言をしたら、「今では普通だよ」といった一言を添えてほしいのです。
普通に手を繋いで歩きたい。
普通に同棲したい。
普通に結婚したい。
普通に恋愛話に混ざりたい。
普通に恋人同士だからこそできる買い物がしたい。
ストレートカップルが普通にやっていることを、同性カップルも普通にできる世の中になってほしい。
そのために、私もストレートまたはアライの皆様に情報発信を絶え間なく行っていきます。
一人でも多くのストレートの方が、私たちの存在を「当たり前」のように感じてくれたら、これほど嬉しいことはありません。